認知症予防と早期発見~認知症の基礎知識~

認知症の基礎知識

目次

日本における認知症人口

内閣府発表の『平成29年版高齢社会白書(概要版)』によると、65歳以上の認知症高齢者は、平成24(2012)年で462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人だったものが、平成37(2025)年には約5人に1人になると推計されています。 又、MCI(認知症予備群)人口は400万人と想定されており、MCIを含めた認知症の人口は900万人以上にもなります。 この数字は日本人全体のおよそ14人に1人が認知症(又はMCI)と言うことになります。

65歳以上の認知症高齢者の推定者と推定有病率グラフ

平成29年版高齢社会白書(概要版)より




認知症とは

認知症とは病気の名前ではなく、認知機能の低下によって身体に現れる症状のことです。 認知症は高齢になるほど発症率が高くなります。高齢に伴う糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、ストレス、喫煙、運動不足などが要因と言われています。 脳をあまり働かさない生活をしている人が発症しやすい傾向にありますが、アメリカのレーガン元大統領や、イギリスのサッチャー元首相のように現役時代には変化と刺激に満ちた生活をしていた人でも発病しています。どんな人でも発症する可能性があると言えます。 何かおかしいと思ったら早めに病院での診察を受けることが重要です。

軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは

軽度認知障害(MCI)とは認知症の前段階の状態を指します。 物忘れをする機会が増加し、正常とは言えませんが、日常生活や社会生活には大きな支障をきたさず、認知症の判定基準には達していない状態を言います。 認知症ほどではないにしても、何らかの症状が現れてきている状態です。 MCIの原因となる疾患を放置しておくと、年間10%の人が認知症へ移行すると言われています。 治療やケアによってこの移行スピードを遅らせることはできますが、一旦、進行した症状を、大きく回復させることは現状では困難です。 しかしながら、MCIの状態で適切な処置を行えば、認知症が改善する場合もあります。そのため、できる限り軽度のうちに発見し、進行予防に努めることが大切です。

老化による物忘れと認知症との違い

高齢になると誰でも、自然な老化によって脳の働きが衰え、物忘れが増えてきます。 老化による物忘れと認知症の物忘れとは何が違うのでしょうか。 老化による物忘れは、脳内に記憶している膨大な情報から対象となる情報を引き出せなくなる状態と言えます。 記憶自体は脳内に残っているので外部からヒントをもらったり、時間をかければ思い出すことができます。 これに対し、認知症では記憶自体が抜け落ち、脳内に残っていない状態になります。 認知症の場合、もともと記憶がないために外部からヒントを与えられても、どれだけ時間をかけても思い出すことはできません。

認知症の症状

認知症になると、物忘れ以外にも様々な症状が現れます。 これらの症状は、中核症状と周辺症状に大きく分けられます。 中核症状は脳の病変によっておこる認知機能の障害です。 物忘れや判断力の低下など程度の差はありますが、初期段階から誰にでも現れます。 一方、周辺症状は、精神的な不安や混乱など外部環境が要因となり、中核症状によって引き起こされる二次的な症状です。 これらの症状は、『認知症の原因』で示すように認知症の種類によって表れやすいものと表れにくいものがあります。

都道府県別の高齢者認知症患者率

日本における都道府県別の高齢者認知症患者率認知症患者率は以下のようになっています。

都道府県別の高齢者認知症患者棒グラフ

『都道府県別の高齢者認知症患者率の推定とその要因分析』より

このグラフから気になるのは、東京都及び四国の一部(香川、愛媛)が高齢者認知症の患者率が高くなっている一方、北関東(茨木、栃木、群馬、埼玉、千葉)の患者率が低くなっていることです。最大の愛媛(3.49%)と最小の千葉(1.21%)の患者率は約3 倍の差があります。これらの違いの明確な原因は明らかにはなっていませんが、食生活や生活習慣などに何らかの地域性による違いがあるものと思われます



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