認知症予防と早期発見~認知症の原因~

認知症の原因

目次

認知症の種類

認知症の種類によって発症の原因や症状、その治療方法や対処の仕方が異なるため、正しい理解が必要です。 人によっては複数の種類の認知症を併発する人もいます。全体的な認知症の要因の割合は以下のようなグラフで表されます。

認知症の原因の割合を示す円グラフ



しかし、認知症に要因は年代によって大きく異なり、年齢階級毎の要因は以下のようになっています。

年代毎の認知症の原因を示す積み上げグラフ

『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究』から補足資料2のデータをグラフ化

このデータによると75歳くらいまでは、認知症の原因としては様々な要因がありますが、80歳を超えるとアルツハイマー型認知症の割合が大半を占めるようになります。



アルツハイマー型認知症

認知症の6割以上を占めるのがアルツハイマー型認知症です。 脳の中で海馬と呼ばれる部分があります。この海馬は最近の事を覚える機能を担っています。 勉強での記憶や日常生活での出来事などの記憶は一旦、この海馬に保存されます。 海馬に保存されたデータは整理整頓され、必要なデータや印象的なデータが大脳皮質に保存されます。 アルツハイマー型認知症はこの海馬の細胞が減ってしまい、海馬が委縮することで発症します。 この為、アルツハイマー型認知症を発症すると古い記憶は残っていますが、新しい記憶は覚えていないという症状が現れます。

アルツハイマー型認知症の原因を示す図


海馬が委縮する原因はアミロイドベータと呼ばれるたんぱく質です。 アミロイドベータは脳が活動する中で老廃物として生成される物質で、この老廃物であるアミロイドベータが塊となって蓄積し、脳の神経細胞に悪影響を与えることで脳が委縮することが判っています。 脳の神経ネットワークを構成する神経細胞の機能に必須なタンパク質としてタウタンパク質があります。 アミロイドベータは、このタウタンパク質の変異を誘導し、変異したタウタンパク質が塊となって神経細胞にダメージを与え、細胞死を引き起こします。
このようにアミロイドベータが脳に溜まることで認知症が進行します。 アルツハイマー型認知症の特徴としては、症状が物忘れから始まり、緩やかに悪化します。運動機能の障害は少なく、匂いが判らなくなる場合があります。 物を盗まれたなどの被害妄想がおこったり、事実と異なることを話すことがあります。
アルツハイマー型認知症は女性のほうが発症率が高く、男性の1.5倍~2倍の発症率となっています。 アルツハイマー型認知症は20年以上かけてゆっくり進行すると言われています。実際、アミロイドβは40歳代、50歳代からたまり始めています。 アルツハイマー型認知症発症を防ぐには、40歳代、50歳代からの予防が重要となります。

脳血管性型認知症

脳血管性型認知症は日本人に2番目(約2割)に多い認知症です。 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳内の血管障害などで脳細胞の一部が障害を受けて発症します。 ラクナ梗塞も脳血管性型認知症の原因と言われています。ラクナ梗塞とは、脳深部の細い動脈にできる直径15mm未満の小さな梗塞です。 ラクナ梗塞は高齢になるほど増加し、70歳以上では約30%で発症しています。60歳代で約25%、50歳代で約12%、40歳代でも約5%と若い世代でも発症の可能性があります。 ラクナ梗塞があっても、何の症状も現れず、治療の必要の無いものも少なくありません。 しかし、ラクナ梗塞ができると、梗塞ができた場所の血流が滞り、脳の活動(記憶、運動、感情など)に影響を与える場合があります。それが、認知症の症状となって現れます。 脳血管性型認知症は、小さな脳血管障害が再発するたびに症状が悪化します。障害を受ける脳の部位によって症状が異なります。 アルツハイマー型認知症はゆっくりと症状が進行していきますが、脳血管性型認知症は、脳血管障害が再発する度に悪化するために、階段上に症状が悪化していきます。 脳血管性型認知症の特徴としては、行動意欲をなくし、悲観的になったり、手足の麻痺などの運動障害が起こります。 又、些細なことで泣き出すなど、感情をうまくコントロールできくなります。

レビー小体型認知症

日本人に3番目に多い認知症で症状はアルツハイマー型に似ています。男性の方が発症しやすく、女性の約2倍と言われています。 αシヌクレインと呼ばれる異常蛋白質で構成されるレビー小体という物質が、脳幹や大脳皮質に多数現れ、神経細胞が障害を受けて発病する認知症です。 レビー小体は全身の神経細胞にできますが、脳内の脳幹部に多くできるとパーキンソン病となり、大脳皮質に多くできるとレビー小体型認知症となります。 このため、レビー小体型認知症の症状はパーキンソン病と似た症状が出る場合があります。
レビー小体型認知症では、物忘れはあまりひどくないことが多いようです。 レビー小体型認知症の特徴として、リアルでハッキリした幻覚を見たり、手足の震えや、体を思うように動かせなくなります。 この為、歩行が小刻みになり、転びやすくなります。 体調の起伏が大きく、調子の良い時ち悪い時の差が大きいのも特徴です。 睡眠中に大声を出したり、体をばたつかせたりするような症状もあるようです。

前頭葉型認知症

前頭葉型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉が委縮して発症します。 人格の大きな変化や行動異常が目立ち、周囲の人に迷惑をかけることが多いようです。 前頭葉型認知症では、初期段階でのもの忘れはあまり目立ちません。 前頭葉型認知症の特徴として、性格が変わったように極端に自分勝手になったり、同じパターンの行動を繰り返すようになります。 初期には過食などの食行動異常が多くなります。 無神経な言動など、他人の気持ちに配慮しなくなったり、信号無視や万引きなど、社会ルールを守らなくなることもあります。



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